失業手当は失業保険、失業保険給付、失業給付とも言われていますが、正式名称は雇用保険の「基本手当」といいます。失業した際に労働者の生活を守る、再就職を支援するための給付金となっています。
受け取るまでの流れを確認しておくことでいざという時に速やかに受給できるようにしましょう。
- 考える人
- 退職したら失業手当はどこでもらうんだろう?
- 失業手当の受給スケジュールがわかりづらい。
- 自己都合で退職したけど、失業手当はいつからもらえるの?
こういった方へ、お答えます!
失業手当 (雇用保険の基本手当)を受け取るまで
失業手当を受け取るまでのスケジュール
- 退職
- 退職した会社から離職票が送付される。
- ハローワークで失業手当の受給手続きをする。
- 7日間の「待期」をすごす。
- 初回認定日にて失業認定を受ける。
会社都合で退職した場合
- 最初の失業手当をもらう。
- (以後、4週間おきに認定日となる)
自己都合で退職した場合
- 2ヶ月の給付制限を過ごす。
- 2回目の認定日にて失業認定を受ける。
- 最初の失業手当をもらう。
- (以後、4週間おきに認定日となる)
会社都合で退職した場合、受給手続きから約1ヶ月で失業手当が受け取れます。
一方で自己都合の退職の場合、手続きから3か月経ってようやく支給となります。
失業手当 を受け取る条件【最初に確認】
- ハローワークで求職の申込みを行い、就職する意志・能力があるにも関わらず、就職できない状態(失業の状態である)。
- 退職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上あること。
(ただし、特定受給資格者や特定理由離職者は退職日以前の1年間に被保険者期間が6か月以上あること)
失業状態にあっても病気やケガのため就職できない場合は失業手当は受け取れません(代わりに傷病手当を受け取れます)。
①退職する
この時点では特にやることはありません。
離職票が届いたらすぐにハローワークへ行けるよう、受給手続きの際の持ち物の確認をしておきましょう。
②離職票が送られてくる
退職した職場から離職票が届きます。私の場合は退職から3週間後くらいに郵送で送られてきました。
退職前に離職票を必ず送ってもらえるよう人事部等へ念を押しておくこと!
私は退職1週間前くらいに、人事部に社会保険証を返すついでに「退職後すぐに離職票の送付お願いしますね!」とお願いしました。
③ハローワークへ行き、 失業手当 の受給手続きをする
離職票が届いたらすぐにハローワークへ行き、 失業手当の受給手続きをしましょう。
手続きが遅くなると、その受給の開始時期も遅れます。「気が向いたら行こうかな~」と1週間ほど放置した私のようになってはいけません!(後悔しました!)
自分の住んでいる地域の管轄ハローワークの調べ方
- 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧より住んでいる都道府県を選択。
- ページ下の方、「公共職業安定所」欄の右端にある「管轄一覧表」を選択。
- 「管轄地域」より自分の住んでいる地域を探し、その左横にある「公共職業安定所」がその地域の管轄のハローワークになる。
失業手当 受給資格の手続きは何をするのか?
- 求職の申込み、面談・・・
面談と言っても希望職種や年収、就活の進め方を相談、記入するだけなのでラフな格好でok。就職する意志があると表明するためのものです。 - 離職票の提出・・・
離職票はもう戻ってきません。代わりに後日「雇用保険受給資格者証」をもらいます。 - その他 書類記入・・・
失業手当の振込先を記入したり、失業手当関連の書類の書き方を教えてもらったり。 - 失業保険受給のしおり(冊子)やスケジュール表、ハローワークの案内等をもらう。
時間は15~20分くらいでしょうか?コロナの影響で対応を簡略化しているのか、割と早く終わりました。
持ち物
最初にハローワークに行く日は準備するものが多いので事前に揃えておきましょう。
- 離職票
- マイナンバーカード(マイナンバーが分かるもの、マイナンバー記載の住民票等)
- 身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 証明写真(横3.0㎝×縦2.5㎝)
求職申込書や失業認定申告書に貼りますのでスーツ姿の写真などが良いでしょう。 - 印鑑
- 本人名義のキャッシュカード又は通帳
離職票を持ってハローワークに行った日が受給資格決定日になる。
離職票を持ってハローワークに行き、受給の手続きをした日が受給資格決定日になります。受給資格決定日を元に失業手当の受給スケジュールや、認定日が決まってきます(曜日固定)。
例えば受給資格決定日が水曜日だったら、そのあとの認定日は水曜日固定です。都合が悪い曜日があればそこは避けて来所しましょう。
④-1 7日間の待期をすごす。
失業状態かどうか、失業保険を受ける必要があるかどうか等をハローワーク職員が確認する期間です。
私たち受給者側は特にすることはありません。
ただし、この7日間の間に再就職したら完全なるアウト。失業保険はもらえません。
④-2 職業講習会・雇用保険説明会を受ける ※
スケジュールの解説図には載せませんでしたが、初回認定日までに職業運連、雇用保険説明会を受けます。※2021年4月現在はコロナの関係で省略されました。
ハローワークの利用の仕方や面接のポイント、応募書類の作り方など就職活動の全般についての説明。
コロナの影響で受けられなかったという人も安心。わかものハローワークのセミナーで「履歴書の書き方」「自己分析の仕方」「面接対策」とピンポイントで受けられます。
失業保険の受給スケジュールや不正受給についての説明(恐らく)。
これも説明会に参加しなくても「雇用保険受給資格者のしおり」に細かく載っているので大丈夫。また読んでもわからなかったら職員に聞けば答えてくれます。
⑤初回認定日にて失業認定を受ける
失業状態にあるか、就職活動を行っているか定期的にチェックする日です。
初回認定日は受給資格決定日から4週間後にあります。
そして初回認定日までに求職活動の実績を1回以上行う必要があります。
(2回目以降の認定日は2回以上の実績が必要)
持ち物
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書・・・
認定日までの求職活動の実績やアルバイトの有無など記入。 - 印鑑
実は私は認定日にハロワに行ってません!
というのも緊急事態宣言中だったので郵送でも対応してくれました。
その場合は印鑑不要で雇用保険受給資格者証と失業認定申告書、返信用封筒をまとめて送ります。
求職活動の実績をつくるために
求職活動の実績とは求職に関わる活動のことです。
初回認定日前には1回、それ以降の認定日前には2回以上の実績が必要になります。
求職活動の実績の例
(マイナビ、リクナビなどの民間のサービスを利用してもおk)
(求職申込み、職業相談、職業紹介、セミナー参加、職業講習会など他にもいっぱいあります)
(リクナビの転職フェア、マイナビのIT就職フェアなどに参加するだけでおk)
(独立行政法人や地方公共団体などです。これは正直何が該当するのかわかりづらいです)
(これも現実的にあまりなさそうです。)
何やら面倒くさそうと思ってしまいますが、そうでもありません。
ハローワークの実施する職業相談とされる範囲がとても広くて、
「緊急事態宣言中にハローワークに来所していいのか?」
「3回目以降の認定日がいつかわからない」
などの1つの質問で1つの実績になるので難しく考える必要はありません。
最近ではコロナの影響もあり、来所しなくても電話で相談や質問をするだけで職員の方で記録をしてくれます。
ハローワークで相談や質問の実績を作ると「雇用保険受給資格者証」の裏に日付のスタンプを押してくれます。
そして失業認定申告書に実績活動を記録、提出します。
実績活動は1日1回までしか記録してくれません。
2回の実績を作るには2日に分けて、それぞれ1回ずつ相談をする必要があります。
ハローワークの求人票を持っていき、「現在何人の募集がきてますか?」と質問するだけで1回の実績になります。
この方法のいいところは、質問する内容に悩まないこと、そして何度でも使えるというところ。
気になった求人票を持っていき質問する。そして実績1回分終了。実績活動作りに悩んだらぜひ使ってください。
初回の認定日を終えたら退職理由により2つのパターンに分かれます。
⑥⑦-1 会社都合の退職の場合 初回認定日から一週間後に初受け取り
初回認定日で失業認定を受け、1週間ほどたつと最初の失業手当が振り込まれています。
またこれ以降は4週毎に認定日になり、その度に2回の求職実績が必要です。
会社都合退職 失業手当 受給スケジュール
※受給資格決定日が4月28日(水)の場合
待期7日間の後はすぐに支給開始となります。
支給額は基本手当日額×所定給付日数から計算されます。
よって失業の認定を受けると、基本手当日額×21日分が1週間後くらいに口座へ振り込まれます。
以降は給付日数が終わるまで繰り返しです。
基本手当日額?所定給付日数?という方はこちらの記事で解説しています。
https://mukupanblog.com/unemployment-allowance-how-much/
⑥~⑨-2 自己都合の退職の場合 初回認定日から約2か月後に初受け取り
会社都合の退職と違い、2ヶ月(場合によっては3か月)の給付制限があります。
つまり、待期7日間+2ヶ月は支給されない日が続きます。初回の認定日から8週後が2回目の認定日となり、1週間後に最初の失業保険が振り込まれます。それ以降は4週毎に認定日が来ます。
会社都合と同様、認定日前に2回の活動実績が必要です。
自己都合退職 失業手当 受給スケジュール
※受給資格決定日が4月28日(水)の場合
待期7日間の後は2ヶ月の給付制限がつき、すぐには受給できません。給付制限が終わった翌日から支期間となります。
初回認定日の8週後が2回目の認定日になり、その1週間後くらいに基本手当日額×16日分が振り込まれます。
退職理由はもらえる期間や受給開始時期、すべてに関係する。
失業保険においては会社都合で退職を余儀なくされた方の方が、計画的に退職をした(とみなされる)自己都合退職の人よりも有利です。
- 受給開始が早い(受給資格日から1ヶ月で受給できる。自己都合は3か月かかる)
- もらえる期間が長い→受給額が多い(基本手当日額×もらえる日数 の計算のため受給額が多くなる)
もしできるならば会社都合の扱いにならないか、ハローワークの職員に相談してみましょう。
(例えば自己都合で退職をしていても、残業が3か月の間、月45時間を超える場合、失業保険との関係では会社都合の退職として扱われます。)
失業手当 を受け取るまで まとめ
今回は失業手当を受け取るまでの流れをざっくり解説しました。もしこれから退職を考えている人は必要書類や受け取るまでの流れの確認と、どうにかして会社都合にできないかギリギリまで粘ってください。
辞める前は退職理由でこんなにも違うのかとショックで、辞めてからあれはパワハラにできなかったのだろうか…とかグレーゾーンの言葉使いとか録音しておけば…と数日考えてました。
失業保険をもらうまでの流れをざっと知っていると、無職期間に出費が続いてしまった時も「お金がもうない!」と焦ることもなくなると思うので、ぜひ参考にしてください。
コメント